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澁谷知美『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』筑摩書房 2009年

 平成の男子は,昭和のお父さんのように「男らしさ」が自明ではない。「男らしく」仕事に打ち込み,家庭を放棄すれば,妻子は離れていく。「男らしく」妻を殴れば,DVで捕まる。「男らしく」妻子を養おうとしても,正規雇用の口は減っている。この平成の世で男子はどのように生きていったらいいのか悩むはず。
 本著は,「平成オトコ塾塾長」を自認する著者が,平成の世の悩める「男子」に「こういう生き方もあるけど,どっすか?」と啓蒙するのではなく,提案する本である。フェミニスト本って叱られそう,コワそうと思っていた「男子」も,「悩める男子のための」との副題に思わず本著を手に取り,愛情あふれるポップな語り口にのせられてすいすい読めることだろう。
 内容は多岐にわたる。男同士の友情,「僕が君を仕事を通じて守る!」の問題点,「非モテ系」を抱きとめる思想的セーフティネットの創造の勧め,包茎手術の知られざる真実など。
 「暴力はなぜいけないか」の章は,軽快なアドバイスではなく,真摯な問いかけとなっている。しかし,やはり「啓蒙」には陥らないように工夫してある。まず男性読者に,被害者にシンクロしやすいよう,男男間の暴力について,紙幅をさく。戦時中の性暴力等,読むの辛いが,被害者のリアリティを理解してはじめて,暴力について知り,自分の暴力を知ることができるという配慮からである。頭ごなしに暴力はダメと叱られるより,すっと「暴力はいけない」ことを実感できよう。
 「性風俗に行ってはダメか」の章の結論は,「風俗嬢をひとりの人間として尊重する」ことさえ守れば,行きたい人は行ってもいいし,行きたくない人は行かなくてもいい,というものだ。この結論の前に,風俗嬢のしていることは労働であるした上,よくある性労働批判に反論を加えている。なるほどと頭は理解できても,評者にも,もやもやとしたものが残る。この点はまだ議論を呼ぶところであろう。
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