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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『働く女は敵ばかり』(遙 洋子・朝日新聞社)

 お笑い系タレントとして認識されていた遙洋子は、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』をひっさげて、フェミニズム界に鮮やかなデビューをして、おおかたの度肝を抜いた。その後、彼女のもとには行政サイドや大学などお堅いところからの「男女共同参画社会」関係の講演依頼が殺到しているとのこと。新しい世界が開けたのと同時に芸能界では生きにくくなっているのだろう(そんなことでへこむ彼女ではもちろんないが)。
 「意見を言うには、自分の女性性を否定するしかなかった。意見より前に既に私は自分を否定しているのである。私はその地味な服に覆われた自分の姿を映し、やっぱりガックリうなだれるのである。
 女を売りにするも、女を否定するも、いずれにせよ、どっちでもない自分を抱えながら仕事するしかない。」自分らしくない服装に呆然としている彼女をスタイリストが励ます。「一時間だけや。本番の一時間だけ地味な衣装と地味な髪で仕事しよう。一時間だけ辛抱しよう。」口惜しく実家に帰った彼女に兄嫁(これは彼女らしくない表現だ)が言う。「そんなに悔しいのなら、なぜ戦わなかったのか」。それに対して明るく返事する彼女。「戦ったら、仕事なくなるもーん」。
 ここで、彼女が言っている「女だから仕事がある。でも女だから仕事がない。女じゃなくなれば仕事がある。でももう女じゃないから仕事はない。なにをどうしたって、女に仕事は、ない」というのは、多かれ少なかれ年齢・美貌(というか性的魅力)が働く女性について回るという状況をよく表現している。
 惜しむらくは、彼女がフツーの働く女とのつき合いがないということ。芸能人とその周囲の人々、マスコミ関係者(それもキラキラ、おしゃれな)そして東大のエリート同窓生が彼女の交友関係である。なんかみんなかっこよくて悩みまでかっこよくみえちゃんうんだけど、これって単なるひがみかしらん。
 師匠の上野千鶴子さんの活写は抜群である。上野さんの人を刺し殺すハスキーな声や敏捷なからだの動きが目に浮かぶ。

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