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『フェミニズム法学――生活と法の新しい関係』(浅倉むつ子・戒能民江・若尾典子 2004年 明石書店)

 今年の4月に誕生したロースクールでは、選択科目(先端科目)として「ジェンダー法学」あるいは「ジェンダーと法」という講座を設けたところも少なくないときく。司法界のジェンダーバイアスがさまざまに批判されている折、大いに歓迎したいが、一方で、どんなことをどんなふうに教えればいいのだろうかという疑問も現場にはあると思われる。
 既存の社会秩序を守るための法律学を根底から見直し、法律学が男性中心の「知の世界」であったことを批判して、ジェンダー視点から新たな法律学を構築しようとしているのだから、いままでの法体系にただ従っているわけにはいかない。その意味でいま法学のための全く新しいテキストが求められている。そういうニーズにこたえて、労働法の浅倉、家族法の戒能、憲法の若尾の3人が6年もの年月を費やして産み出した420ページの大著が本書である。
 「T労働を生きる」「U親しさを生きる」「V身体・性を生きる」の3部よりなる。U部はいったいなんだろうと思うひとのために参考までに内容を紹介してみる。「家族法改正へ」「夫婦別姓」「婚外子差別」「戸籍と『家』」「『親密圏』にひそむ暴力」「離婚の自由」「老いを生きる」「シングルマザーとして生きる」。どうだろう? ジェンダー法学の目指す方向が見えてきはしないだろうか。
 本書をあえて「ジェンダー」ではなくて、あえて「フェミニズム」としたのは、フェミニズムとは「性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動」と定義し、この運動の一翼を本書が担うことをねがってのことであるという。
 最終章の「フェミニズム法学をめざして」は、昨年末のジェンダー法学会の誕生に至るまでの、フェミニズム法学の歴史と課題が手際よくまとめられており、また若い研究者の業績にも目配りが行き届いていて、彼女/彼らをエンパワーすることだろう。
 ロースクール向けテキストを意識したものであるが、表現などはよくこなれているので、大学院生でなくても十分に読みこなせることはもちろんである。
 生まれたての学問。フレッシュな息吹が感じられて嬉しい。
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