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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
道浦母都子『たましいを運ぶ舟』岩波書店 2010年

デビュー歌集「無援の抒情」で自ら身を投じた学生運動を清冽にうたい、「洗い髪濡れて光れるそのままをあなたにたおれてゆくまでの愛」と若々しい情熱を歌い上げた歌人、道浦母都子も還暦を迎えた。
この数年、自ら病を抱え、一時は歌も作れなかったと言う。
  発症より七度目の秋 この朝も蛍のような錠剤数う
そして、友人、恩師、母、義兄を次々と送る日々。
  とめどなく挽歌綴りて亡き母に甘ゆる夜を水仙の雨
けれども、この歌文集の冒頭のタイトルを「いまの私がいちばん好き」とするくらいに復調した。
  やわき緑の風の一陣冬越えのこころの風邪をさらいてゆけり
身辺のことから、近藤芳美、斎藤史、中條ふみ子などについての短い歌論を含めたこのエッセイ集は、ぽたぽたとしずくが落ちてくるようなみずみずしさと同時に老いと死の影を潜めて痛々しさがある。
  群青の流れの彼方あかときの川は未生のじかんをひらく

こうして歌を書き写すと、日本語のしらべと字の美しさに陶然となる。(巳)
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