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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
有川浩『阪急電車』幻冬舎文庫 2010年

 図書館戦争はじめ、著書が続々とベストセラーになり、映画化されるエンターテイメント作家。だからこそ、「ベストセラーに良書なし」と勝手な格言を胸に抱くひねくれものの私は手にしたことはなかった。勧められてようやく読んでみたところ、すいすい一気に読める。なるほど、上手い。片道わずか15分間のローカル線に乗り合わせた乗客たちの様々な出来事。要約するのも気恥ずかしいような初々しい恋のはじまり。苦い恋愛の終わり。表面を取り繕っているだけの寒々しい女性たちのつきあい。何か過去がありそうな、毅然とした老婦人が要所要所で発するセリフが、ツボにはまって痛快である。
 難解な言葉ひとつ使われず、随所に「胸キュン」というベタな表現がはまる小説だが、ちょっとした毒やユーモアにより、凡作に堕ちる寸前でとどまっている。むむ、上手い。プロの技を感じる。なるほど、人気作家なのもわかる。
 我儘なDVイケメンと別れられない女子大生も、老婦人の「くだらない男ね」のひとことで目が覚め、別れを決断する。うーむ。何度となくDVの被害の深刻さや救済方法について講演してきたが、弁護士が細々と語ったり書いたりするよりも、こうさらりと物語で書いてくれるほうが、被害を受けている人にも届きやすいし、腑に落ちるだろう。法律上どうのこうのと説明せざるを得ない仕事柄、そのまま真似するのは難しいが、被害者の胸に届かないと意味ない。参考にさせていただきたいな。(良)
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