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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
北原みのり著『アンアンのセックスできれいになれた?』朝日新聞出版 2011年

 ショッキングピンクの表紙とタイトル,薄さから,お手軽なエッセイ本のたぐいかと思いきや,さにあらず!鮮やかな手さばきで,1970年生まれ・不惑を超えた雑誌アンアンを素材に,女性の現代史・女性論が展開されている。
 リブもレズビアンもドラッグも肯定し,とんがった「政治的」なアーティスティックなヌードをとりあげた70年代。おバカに陽気にエロに弾けた80年代。「私の裸」を堂々ときれいと称賛した90年代前半。それまで一切説教してなかったのに突如「愛がなくてはセックスはダメ」と執拗に言い出した上に男性に奉仕するテクニックを細々と語りだした90年代後半。右傾化,保守化が進む中,「赤ちゃんプレイ」をする男でも「男らしい」と讃えよと説くアンアンからは,SEXの中にもバックラッシュがあったのだと悟る。自分のイタさを消臭する右派のかたわらで,イタさに自覚的に開き直った中村うさぎもいた。しかしその発言は過激でも開放感はない。
 東電の男たちの顔を毎日テレビでみながら,泣き,怒りながら書いたあとがきも圧巻だ。北原は,おずおずと村木厚子さんと東電OLとを比較し,「私は,絶対,村木厚子さんにはなれない。私はまだ,すごく怒っている」と書く。村木さんは逮捕勾留後,向こうの土俵で戦っても負けると早々と悟り,「負けないこと」を目標とし,具体的には体調を崩さないこと,落ち込まないこととする。村木さんの戦いぶりは逮捕後に始まったものではないのだろう。国家公務員の女性キャリアに「お茶くみをやらせるか」で大議論(!)になった際に,村木さんは「いいですよ,お茶くみくらい」と朝早めに出勤してお茶を配った。村木さんを慕う人はたくさんいた。一方,東電OLは盥の中にたくさんのお湯のみをがちゃがちゃ洗い,たくさん割ったという。村木さんの戦いぶりは天晴れだ。しかし,怒りと不満を抱えた東電OLに共感する女たちは少なくないだろう。
 北原はいう。3.11後の日本という国は,深い絶望を抱えた東電OLになってしまったのではないか。でも,自由な未来を手にしたい。最後は,切実な願い・祈りでしめくくられる。私も涙し,祈らずにはいられない。(良)
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