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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
渡辺ペコ『ラウンダバウト』1巻〜3巻 集英社 2007年〜2008年

 中学2年生、中二病といわれがちだがそんな言葉ではくくれない多感な時期を生きる子どもたちの、ほんのちょっとした、だけれどもその本人にとっては胸に迫るような瞬間瞬間を見事に描き出す作品。
 「おわん」のような強烈な髪形になってもむしろそれを気に入って堂々としている真が一応主人公だが(出ない回もある)、他の登場人物もそれぞれ存在感がある。一人一人の揺れ動く感情や譲れないところなど様々に抱えている。時には他者に期待したり、恋心を抱いたり、ぶつかったり、そしてお互いを認め合ったりする。漫画の線が雑なようで、でもだから子どもたちの落ちこみや、嬉しさなどの感情の動きをくっきりと描き出せているような気もする。
 一応の主人公の真は、友だちにぎょっとされる髪型になっても全く気にしない(むしろ気に入っている)、マイナーな漫画家にはまっている、我が道を行く子。意味ないとわかっている創作ダンスでも皆を仕切ってしまい、「カリカリ」していると自己嫌悪に陥る英子ちゃんは素直にありがとうやごめんが言えないけれど、ニコッと「また明日ね」と言い合えると小躍りできる気持ちになる(第2話)。男子も女子も先生も嫌い、いつまでたっても学校に馴染めない自分も嫌いな不登校の水上さんは、担任の先生や真と話をしながら、外へ行くようになったり、踊ってみたりする(第3話、第4話)。お母さんと離婚して違う家庭を作ったお父さんの別の女性との間の弟に会いに行くキノちゃんは、お父さんに捨てられたのではなく、今も気にかけてもらっていることを知り、また冷たいように見えるお母さんも本当は平気ではないのかもしれない、強くなろうと決める(第8話)。バカどもに給食費を払っていないことをいじめられている佐々木は、兄とコツコツとマンガを描いていて自分の軸を持っている。でも、真に自作マンガを読んでもらう気にもなるまでの、無表情ながら心が他者に開いていく過程は感動的だ。真も自作マンガを佐々木に評価されて嬉しくなる。佐々木がマンガを創作していることを知る前から、真は貧乏なのは本人がつらいかもしれないけど気にしていないかもしれないし、周囲がカワイソウと思うのはお門違いではないかと、佐々木の尺度を尊重できる(第17話)。真を好きな黒柳が引っ越し前夜に真に会いに行って、「思いつく言葉はどれも本当に言いたいこととはずれている気がして」告白は出来ないままに会話するシーンは、これぞ初恋っ、と身もだえすること必至(第18話)。
 行動も感性も何も違う。わかってほしいのにわかってもらないときもあるし、イラッとするときもある。でも、「貧乏だ」「不登校だ」「ひとり親だ」etc.で自分や他人をくくらず、その人自身と向き合いたい。かけがえのない子どもたちに出会える、秀作だ。(良)
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