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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『薄荷色の朝に』(松村由利子・短歌研究社)

  「本当に記者さんですか」を退けて女もすなる国会取材
  遊軍も前線本部も生き残る編集局の軍隊用語
 これらの歌を読めばすぐわかるように、著者は第一線で働く新聞記者。働く現場を歌う女性が少ないといわれるが、この歌集には、取材の過程や編集部内の様子、そこにいたる通勤電車を歌ったものも多い。ことさら肩をはってもいないし、怒りや嘆きもストレートにぶつけるのではなく、すがすがしく歌われている。
  自分だけは違うと思うラッシュ時は同じ角度に傾かされて
  霞が関の慇懃無礼に搦められグリーンガムもて吾を浄化する
  吾を産みし人の優しさ愚かしさ吾になくオフィスにぱりりと立ちぬ
  猫なれど尾を振る習い覚えんと残業こなす均等法以後
 職場の女性を「ぱりりと立つ」と切り取っているこの感覚が、秀逸。共感する女性が多いと思う。
 そして子育て。
  抱かれたいときの不在を責めるごと子は前頭葉を押しつけてくる
  巨きなるトリケラトプスの頭骨に見入る子の顎まだまだ細し
  かつかつとヒール鳴らして歩くとき最も遠き母象の愛
 湿度の高い「母性愛」でないのが、とても好ましい。
 一冊の印象は、フレッシュなセロリに塩をふってしゃきしゃき食べるような清新な感じで、ペパーミントをタイトルにもってきているのが、ぴったりである。


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