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『ジェンダーの法律学』(金城清子・有斐閣・2002年)

 著者が「法女性学」というコンセプトを学界・出版界に持ち込んだのは、20年ほど前のことである。
 「法の下の平等」という概念があるくらいだから、当然法律は男女に中立的なものと思いこんでいた私に、たとえば「婚姻年齢」や「再婚禁止期間」また「強姦規定」など法律自体に男女差別的なものがあるという指摘や、婚姻時の姓をきめる規定は性中立でも、実際に98%が夫の姓を名乗るのはなぜかという分析など、目から鱗だった。
 本書の第1章は「変革の道具としてのジェンダー統計」である。なぜ現状の制度ではダメなのかを、とくに現状の制度にはなんら矛盾を感じていない人に説得するためには、客観的なデータがいる。それには何よりも数字的なデータが有効である。 
 たとえば、ドメスティック・バイオレンスである。数年前には「日本には妻を殴るような野蛮な男はいない」といわれて、「ウソ!」と思っても反駁するのが困難だった。しかし、その後調査が行われ、20人に1人の女性が夫や親しい男性から暴力を受けているというデータが出た。このことが人々の認識を変え、DV防止法制定の力となった。このプロセスで、女性たちは法律が与えられるものではなく、つくるもの、変えるものということを実感したのではないだろうか。
 20年前には女性に関する統計が散らばっていたり、存在そのものがなかったりして、著者は統計収集に苦労したという。そして、今、たいていのものがインターネットで容易に手に入る。この間の変化は大きい。だが、一方で、夫婦別姓をはじめとして、指摘されているジェンダーバイアスのかかった法律の改正はいっこうに進んでいない。これからの課題が見えてくる本である。
 法律をジェンダー視点で見直すとどうなるかを「ジェンダー」にアレルギーを持っている人にも、抵抗なく読めるように工夫された教科書。

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