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榊原富士子・池田清貴著『親権と子ども』岩波新書 2017年

 離婚事件を多く扱う弁護士にとって、「親権」は、あまりにも身近な言葉である。私自身については、一週間を通してみると、「こんにちは」と言う回数よりも、「親権は」と言う回数の方が多いかも…。

 親権をめぐる争いは熾烈であるが、「親権」の意味がよく分からないままに闘っている人は少なくない。また、離婚を有利に進めるための駆け引きの道具、あるいは配偶者への復讐の道具として親権を主張する人も、残念ながら結構いる。子どもが××家の跡取りだ(××家のお墓を守ってほしい)という理由で親権を主張する父親(や父方祖父母)だって、決して稀ではない。

 そもそも、「親権」って何だろう?
 ふと疑問に思った皆様には、ぜひ本書をお勧めしたい。
 第1章「親権とは何か」では、親権は子どものためのものであることが明確にされている。そして、その視点から、親権の内容や制限などについても言及されている。
 第2章「離婚と子ども」には、親権や監護権がどうやって決まるのか等、離婚を考えている方にとって知りたい情報が満載である。
 他方、残念ながら、親権者のもとで、子どもの安全が害されたり、子どもの権利が侵害されたりするケースもある。
 第3章「親権と虐待」はその点を指摘し、具体的なケース(5歳のケンジ君の話)をもとに、虐待に対して関係機関が実際にどのような対応をしているのかを詳しく紹介する。この章だけで、実に本書の約2分の1を占めるのだが、手に汗を握りながらケースを読み進めるうちに、あっという間に読み終えてしまう。また、この章には、例えば、親が教育に熱心なあまり、子どもの遊ぶ権利や休息する権利の保障を怠っているというケースも紹介されている。弁護士になる前、中学受験関係の仕事をしていた私にとって、また現在2人の子を持つ私にとっては、一番ハッとされられた箇所であった。

 本書を読んだ誰もが、親権は子どものために行使されなければならないことを、強く実感できるはずである。
 法曹関係者、離婚を考えている方はもちろん、子育て中の方にもお勧めしたい。(渕)
https://www.iwanami.co.jp/book/b287529.html
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