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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『共生の法律学(新版)』(大谷恭子・有斐閣・2002年)

 障害者・アイヌ民族・「部落」の人々……このような日本における少数者の人々とともに生きていくーー言葉を変えれば、差別のない社会をつくること、これが本書の眼目である。でもここに女性の問題が入って当然と言うところが、無念だ。数の上では男性より女性の方が300万人も多いというのに、なんでマイノリティの権利といわなければならないのか。
 判例を紹介しながら、日本における差別がどのように克服されてきたかをビビッドに語る。法律面だけではなく、たとえば「障害者とともに」の章では、障害者の権利に関する宣言・法律・運動の流れがまとめられているし、また「外国人とともに」では、韓国・朝鮮と日本の関係が年表に簡潔にしるされており、さらに戦後補償がどのような法律に基づいてなされているかが一覧表になっていて、日本の「いま」を知る上で大変刺激的な本である。
 この本がおもしろいのは、著者が関わった裁判例が出てくるのだが、それらの事件とともに著者が変わっていくさまが率直に語られている部分である。自らの心のなかにある偏見をもさらけ出していて、親しみやすく人間味あふれるものとなっている。
 「差別や人権との出会いは決して事件や特別のことではなく、日々の何気ない日常にあることを知っていただきたかった」と著者は述べている。
 ただなまの判例を読むのはちょっと普通の人にはハードルが高い。本を手に取ったとき寄り付きがたい気がやっぱりするだろう。著者の生き方を軸に別の本の作り方をしたらずっとインパクトの強いものになるのに、せっかくの素材を普遍化していなくて惜しい。

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