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「ジェンダーと家族」法律時報02年8月号特集 日本評論社

 硬いと思われている法律雑誌に、「ジェンダー」特集が登場した。いよいよ「ジェンダー」は法学の中でも真正面から取り上げられるようになったということか。1冊勉強すると、最近のかなりのことがわかる。冒頭の座談会には、家族法の二宮周平教授、しんぐるまざーずふぉーらむの赤石千衣子氏、労働法の浅倉むつ子教授、法社会学の丸山茂教授が登場。赤石氏の豊富な事実にもとづく現状分析と研究者の理論分析の交錯はおもしろい。たとえば、離婚・非婚の女性、特に子を養育する女性の就労が厳しい中で、追い討ちをかける児童扶養手当の削減等について、日本では自立が欠如している人への「恩恵的給付」、フランスでは「リスクの共有」(誰でも離婚する可能性がある。そのリスクは社会で連帯して負う)、と基本的考えかたが違うことが指摘される。
 なお、この雑誌の表紙のデザインセンスがあまりに古いというのが友人の弁。一般の人は買わなくてもいいよ、という孤高の境地か。でもたくさん売れた方がいいと思うけど・・・。よけいなおせっかいか。
 他に掲載論文は以下のとおり。
二宮周平「家族の個人主義化と法理論」
法学者らの、家族を個人を基礎としてとらえるのか、婚姻家族の団体性に重みをおくのか、あるいは契約的家族観か、など微妙な、しかし非常にシビアーな考えの差(婚外子差別を容認するか、同性愛カップルを法制度の中で承認できるか、などについて結論が異なる)が整理されている。「家族法研究者におけるジェンダーバイアス」の研究というべきか。
林瑞枝「パートナー関係法の展開」
フランスの婚外子に対する相続差別の廃止、PACS法(連帯民事契約法)の成立経過、同性カップルによる養子縁組などを紹介。
本山敦「嫡出推定・認知制度と子の保護」
嫡出推定制度を父性推定制度に変え嫡出・非嫡出の区別を廃止することを提案。単純明快なドイツの親子関係決定方法を紹介。
袖井孝子「ジェンダーフリーの年金制度と税制に向けて」
筆者は、女性と年金検討会の座長。年金・配偶者控除をいかに中立的な制度に変容させうるかが説かれる。
古橋エツ子「子育て・介護の社会化とジェンダー」
保育も介護も、「女の仕事」から「男女両性の仕事」に変えることの必要性を説く。
市毛由美子「家族紛争におけるジェンダーバイアス」
調停・裁判など司法手続きにおけるジェンダーバイアスについて、日弁連の調査を紹介しながら、その弊害を指摘。筆者は弁護士。


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