判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
美馬のゆり『理系女子的(リケジョ)生き方のススメ』岩波ジュニア新書 2012年

 ある集会で紹介された本である。
 レキジョならともかくリケジョとはまったく縁がないし、著者の名前も知らないしなあと著者紹介を見る。ハーバ−ド大学大学院卒、東京大学大学院卒、公立大学はこだて未来大学、日本科学未来館の設立委員。なんと輝かしいキャリアだろう!
 数式の羅列だったら読めないがと、ぱらぱらめくるとなんと「リケジョ的視点で社会を観察する」という章では「トイレの表示」「おもちゃの色」「M型カーブ」…と馴染み深い言葉や図がでてくるではないか。あれー、これって性別役割を考える本なの?と少々ほっとする。
 著者にとって「リケジョ的生き方」とは女・男の性別に関係なく「自分のやりたいことを見つけて、まわりを巻き込みながら、楽しく生きる生き方」である。このモットーの実現の仕方が著者自身の生きてきた道を具体的に披露しながら語られる。
 女子高から1%しか女子のいない工学系の単科大学への進学、プログラマーや秋葉原でのバイト(メイドカフェでなく)、苦手な英語を猛烈に勉強してハーバード゙大学大学院の試験に合格するも奨学金がおりずに断念、結婚、半年間の専業主婦の経験後、外資系コンピュータ会社に就職、ハーバード大学から「今年はどうする?」という問い合わせに、働いて貯めたお金で単身アメリカ留学、このとき彼女は24歳。帰国後、さらに日本の大学院で学ぶがその間も翻訳、非常勤講師などをして働く。そんな経験の中で大学に職を得て、さらには大学設立にかかわり…私生活はどうかといえば大きな病気も経験、親を介護し、子どもを生み育てた。
 ジェットコースターのような人生を彼女は「周りの人を巻き込み」(つまり周囲の援助も受けながら)、そしてなによりも全身で楽しんでいる。趣味は料理とおしゃれだという。  パワフルで魅力的な彼女自身の人生の歩みをコンパクトにまとめた「7章 理系女子的生き方のススメ」だけでも一読の価値がある。
 いくらスーパーウーマンでも落ち込んだり挫折することもあるのではないかと思うのだが、きっと彼女はそういう局面もプラスに変えていく力を持っているのだろう。
 彼女の魔法の呪文は、「ファンタジー」「ビジョン」「リアリティ」。ファンタジーを現実のものにする科学技術の考え方ややり方を可能にするのがリアリティ。ファンタジーだけは持っているがリアリティに欠けているのが科学者と普通の人の違いなのかな。
 もっともっと若いときに出会いたかった本。中学・高校・大学生の女友達がいたらすぐにおすすめしたい。(巳)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK