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安保法制違憲訴訟の会『私たちは戦争を許さない』岩波書店 2017年

 多くの国民が国会を取り巻き抗議し、ほとんどの憲法学者が違憲と主張する中で、2015年9月19日強行採決により新安保法制が成立した。雨がよく降る年で心が暗くなる一方の日々だった。
 戦後70余年、日本は一人も戦争で人を殺さなかったし殺されなかった。これは9条を柱とする日本国憲法のおかげだったことは確かだ。この憲法体制を破壊した安倍政権に怒りと絶望を感じざるを得なかった。しかしあきらめては負けだ。それは60年安闘争後の空虚感を経験した世代がとくに強く感じたことだった。
 しかしいったい、なにができるのだろうか。安保体制を違憲とする憲法訴訟を提起する声が弁護士を中心とする人々から聞こえはじめた。そして2017年6月現在、6296名が違憲訴訟の原告となっている。
 本書は東京地裁に提訴された国賠訴訟と差止訴訟での法廷での意見陳述―毎回5分程度許された法廷での「意見陳述」の原稿をまとめたものである。戦争体験者や被爆者はその忘れえぬ体験を語り、働く現場からはこの安保法制がどのように自分たちの職場に危険をもたらすかを切実に語り、元自衛隊の人々も現実の危険をリアルに延べ、高校生や大学生や母親たちは未来を担うものとしての使命感に満ち、法曹にあるものは法的検討を加え…様々な立場から司法の場を通して、自分たちの権利を守り自由を守ろうとしている。生活に根ざした等身大のことばでのべられているだけに身につまされる。それにしても戦場体験者、戦争被害者の言葉は何度誰から聞いても衝撃的で重く痛ましい。こんな思いは絶対にだれももうしたくないのは自明のことではないか。それを語り続ける人が高齢化の進行の中で少なくなってきているのは脅威だ。なんとかしなければ。
 「憲法の破壊を許さない」「戦争を許さない」という強い意思のみなぎる本書に勇気づけられる。まだ何かできることはあるはずだ。(巳)
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