判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
武田砂鉄著『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社 2015年

 「放たれた言葉が紋切型として凝り固まっていく社会はつまらないし、息苦しい。固めないために、とにかく迂回を繰り返す。」そういえば、こんな本が昨年話題だったな、と思って気軽に手に取ったが、このフレーズのある「はじめに」から最後まで、「そうそう!」と頷くことしきり。
 紋切型とは。たとえば、「障害者には不幸でいてもらわなければ、出演者はいつもの涙を流せないし、ADは今夜も眠れない」という24時間テレビ的思考。「あの頃には本当の貧しさがあった、生き抜く知恵があった」という、歴史を丁寧に考察する機会から遠ざける、「曾野綾子やその周辺の言葉」。「全米が泣いた」etc.、成長しない絶賛、あるいは批判の言葉。  ゼクシィのサイトにある「花嫁の手紙」のサンプル文は、いくつも文例があるも、果てしないワンパターン。親への感謝を示すことが当然となっている。しかし、現実には、「これぞスタンダード」という家族ばかりではないはずだ。そうであるならば、「家族のあり方を規定しすぎる働きかけは善良な顔をした暴力になり得る」。
 ここで、自民党が2012年に公表した憲法改正草案の24条が取り上げられる。「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」。家族の助け合いが、「なければならない」と強制される。「体じゅうをタバコの焼印だらけにされたトラウマを持つ息子も、母親の過干渉からようやく独り立ちした娘も、家族であるから、助け合わ「なければならない」のか。「法規と模範回答とが同化している」という指摘に大きく頷く。他方、日本国憲法24条は?そんな条項はない。むしろ、家族に関する法律は、「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して」制定されなければならないとある。ところが、国家が「なければならない」とするならば…。たとえばかつて提案された「3年間抱っこし放題」といった「役割分担」が堂々と押しつけられるならば…。ゼクシイのサンプル文がコピペフレーズで涙を流すよう働きかけてくるように、貧相で一元的な家族観に拘束されることになるのか。
 おお。日本国憲法24条の意義と自民党改憲草案24条の問題点をどうにか世の中にわかってほしいと願いつつ、語り口が難しい、もう疲れた、頭を空っぽにしたいと読み出したところ、ズバリ私の問題意識に合致し、なんだかとても元気にさせてもらえた(←紋切り型ですみません(汗))。(良)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK