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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『おひとりさまの老後』(上野千鶴子 2007年 法研)

 お正月休みとお盆休みは、家族回帰の季節。シングルウーマンがこの時間を過ごすのが苦手だといわれたのは、もはや過去の話のようである。
 家族にとらわれない女性たちは友達とツアーを組んで豪華な旅を楽しんだり、おかずを持ち寄ってパジャマパーティで夜を過ごしたり、鍋料理に満腹したり、自由な時間を謳歌している。もちろんシングルウーマンはバリキャリばかりではない。離婚した女性、配偶者に先立たれた女性、つまり最後はほとんどの女性がひとりになるのである。
 ひとりでいる女性を脅かすのは「老後が寂しいわよ」とか「孤独死が待っている」といったささやきである。これに怯える高齢の女性に子どもたちが「一緒に住もう」と優しげに誘う。でもこの誘惑に絶対に負けてはならない、と上野さんは力説している。なぜか。
 「ようこそ、シングルライフへ」から始まって、「どこでどう暮らすか」「誰と付き合うか」「おカネはどうするか」「どんな介護を受けるか」ときて、「どんなふうに『終わる』のか」にいたるまで、実に具体的な提案と励ましに満ちている本である。
 上野さんの結論は明快である。「ひとりで死ぬのはぜんぜんオーライ。ただ、あとのひとの始末を考えて早く発見してもらえるような手配だけはしておきなさいね」というものだ。これくらいならできそうではないか。
 社会学者として調査の裏づけと蓄積された読書量が裏打ちしているだけにすべてに説得力がある。
 世にもてはやされる「ピン・ピン・コロリ」はファシズムだという断言など目の覚める思いがする。
 ただ、やはりある程度の(というかかなりの程度の)お金が必要であることがすべての前提ではある。そして、おひとりさまの特権は、一人でいることも、誰かといることも、どちらも選べること。そのための「各種パートナーの在庫を、用途別にいろいろ抱えておくのがおひとりさまの心得」というけれど、それが実は一番難しいことなのである。こんな在庫をたくさん持っている人はもはや実質的にはおひとりさまとはいえないのではないか。ウーン、お金と友人がやはり頼りか。わかっていた結論ではあるが、こう舌鋒鋭く迫られるとあらためて生き方を変えなくちゃと思う。
 レストランなどで「おひとり様ですか?」と聞かれることに居心地の悪さを感じている人にはぜひぜひ読んでいただきたい。元気も勇気も百倍になる。
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