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『快楽――更年期からの性を生きる』工藤美代子 中央公論新社 2006年

 タイトルは「けらく」と読む。『婦人公論』に連載中から評判を呼んだというが、さもありなん。
 これだけ女性の性――しかも更年期以後の女性の性を女性自身が赤裸々に語ったことはないだろう。インタビュアーの著者の腕のなすところであるが、著者自身が自分の内なる性と真剣に向かい合っている姿勢が相手に伝わるからこそ、もっともプライベートな問題を彼女たちは、吐露しているのだろう。その即物的な語り口にも度肝を抜かれる。
 更年期以後の女性は妊娠の不安がなくなる分、性を自在に楽しめるという説があるが、ことはそんな単純なものではない。この本の中に登場する中高年の女性たちは、それぞれ肉体・精神に多くの秘密や痛みを抱え苦しみ、解決に向けて必死の努力をしている。『不倫』などを乗り越えて、私などは名前さえ知らなかった世界――たとえば「セックス奉仕隊」とか「ハプニング・バー」――が展開される。欲望は無限であることそして彼女たちがその欲望に忠実なことに驚くばかりである。その思いは著者にもあるようで、そのたびに立ち止まり医者やカウンセラーなど専門家の門を叩いて疑問をぶつけている。彼らの意見もドキュメント風に紹介されていることもこの本の大きな特色である。
 というと、理屈っぽい本のように感じるかもしれないが、筆の力もあるのだろう、ぐんぐん読める。もっとも女性たちのあまりのパワーに湯あたりして、読み続けるのが難しいかもしれない。
 友人からこの本を薦められるのはいいとして、恋人から薦められたらどうだろう? それはものすごくコワイことのような気がする。
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