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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
近代ナリコ『女子と作文』本の雑誌社 2013年

 古本屋で見つけた、戦前から現代に至るまでの女性によって書かれたもの…今となっては「ガラクタ」のような、時代遅れな料理本や手芸本、エッセイ。本著は、今や顧みられることのない「女子の作文」を拾い上げ、そこにあふれ出た女性たちの願いや思いをくみ上げていく。無名の女性たちによるちょっとした投稿も丹念に読む。歌人の今井邦子、茅野雅子にしても、その歌については書かず、落合恵子にしても作家としての彼女以前の書いたものを取り上げる。本著は、あえて、小説といった王道よりも、周縁を愛でて止まないかのようだ。
 大橋歩を取り上げた章と「文科系女子の女学生時代」と題し『オリーブ』の「読者からの手紙」「オリーブクラブ」を取り上げた章が個人的にはぐっとくる。特に、大好きだった雑誌『オリーブ』。大好きだったが実は当時から「かわいい」細々した雑貨には「?」だった。しかし、『オリーブ』の「リセエンヌ」的なおしゃれ(「リセエンヌ」が女子の目指す記号ではなくなったのはいつごろからなのだろう)、そこで取り上げられる本や映画に、背伸びしてついていきたかった(実際にはついていけていなかったが)。恋に悩む手紙やおしゃれを披露する手紙の合間に、「小津安二郎特集をやってください」「ラディゲの『肉体の悪魔』では、主人公が冷静に自己観察しているんです」と手紙を書いていた『オリーブ』少女と呼ばれた読者たちは今はどうしているのだろう。ああ懐かしい。今となっては「リセエンヌ」への憧れなど何か気恥ずかしいものはあるが、でもやっぱり『オリーブ』は、あの大切な日々を鮮やかに思い出させてくれる大切な存在だと再認識する。
 とはいえ、思い入れのないその余については、正直、斜め読み。忙しい日々に「周縁」のものまで丹念に読む気力がわいてこない。著者の地道な努力に感嘆する一方、おのれがいつのまにか女子ではなく余裕のないオヤジになってしまったこと(←ジェンダーバイアス用語、ご容赦)を否応なく悟る。(良)
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