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最高裁家庭局監修「家庭裁判所月報」第61巻第8号 2009年8月

 家裁月報の本号は,児童虐待と児童福祉法の特集号といった観がある。児童虐待防止法の改正,児童相談所と弁護士との連携状況,なお残る課題を検討した岩佐嘉彦弁護士の論文,英国の児童虐待防止制度の実情についての家裁裁判官の報告,平成20年の児童福祉法28条事件の動向等のデータ,児童福祉法28条に基づいて児童福祉施設入所措置の承認・入所期間の更新の承認が争われた事件の家裁・高裁の判断(3事案)が,掲載されている。
 保護者が子どもを虐待するなどの場合で,子どもを施設に入所させることが必要でも,施設入所が親権者の意に反するときがある。そのような場合でも,児童相談所は,児童福祉法28条1項により,家庭裁判所に施設入所の承認を求めることによって,子どもを施設に入所させることができる。家裁月報のデータによれば,全国の家庭裁判所において,平成20年の児童福祉法28条1項ごと件の新受件数は,199件,主たる虐待者は実父が47.5%,実母が44.3%であったという。
 岩佐嘉彦弁護士の論文でも指摘されているが,大阪(そして筆者の見聞では東京でも)では,児童虐待に詳しい弁護士と児童相談所との連携体制が整いつつあるが,全国的にはまだ連携が十分ではないところが多い。弁護士が積極的に児童虐待の問題に関わり,迅速な保護等を実現することが望まれる。
 英国視察の報告によると,英国では,地方当局に子どもを保護する一般的な義務と権限が与えられており,裁判所は,後見的な関与ではなく,地方当局の権限の行使を監視する役割を果たしているという。行政機関と司法機関が,厳格に役割分担をしており,そのため,ケア命令事件の審理手続も,きわめて当事者主義的に行われている。地方当局がその内部に弁護士を擁していること,法律扶助制度が充実していることから,両親など当事者も弁護士の援助を得やすいことにより,このような審理が可能になっていると分析されている。上記のとおり,日本では,児童相談所と弁護士の連携も不十分である。また,法律扶助制度も,中産階級も含む英国とは異なり,資力基準が大分限定的で,一定の層しか利用できない。児童虐待をめぐっては,日本において,まだ課題が多く残されている。
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