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『道浦母都子全歌集』河出書房新社 2005年

 いまだにどうしても「全共闘歌人」という冠をつけて呼びたくなるほど、強烈なインパクトを持った歌集「無援の抒情」から早くも四半世紀。いままでに上梓された「無援の抒情」「水憂」「ゆうすげ」「風の婚」「夕駅」「青みぞれ」の6冊の歌集に収められている1500首が1冊となった600ページを超す全歌集である。分冊として『資料編』がありここには「作品・歌人論集」「書評集」「資料編解題」を収録する。
 全共闘から生まれたという出自のせいか、歌人としての枠を超えた表現活動も多いせいか、この「資料編」に収められている道浦にたいするさまざまの批評は非常に辛らつなものがあり、驚く。これらの批判を乗り越えたからこそ一見なよなよしているが芯の強い「道浦短歌」ができたのだろう。このような批判を収録したのもそれを克服したという自信の現れであろう。
 歌集のタイトルを打ち込んでいて気がついたが「ゆうすげ」を除いては、道浦の造語である。それぞれが語の響きが美しく、歌集全体の雰囲気をよく伝えている。
 青春、結婚、離婚、介護…… これらをリリカルに歌い続けて50代に入った著者はこれからどんな方向をたどっていくのだろうか。誰にも引けない軌跡を描いていくことを大いに期待したい。
 炎あげ地に舞い落ちる赤旗にわが青春の落日を見る
                     (「無援の抒情」)
 退廃へ虚無へと傾れゆきたきを危うく支えしわがうたならむ
                        (「水憂」)
 君に妻われに夫ある現世は黄の菜の花の戦ぐ明るさ
                      (「ゆうすげ」)
 通い婚 いえ風の婚 たまさかに二人見ている竜神ヶ崎
                       (「風の婚」)
 見送りはすなわち別れ長く長く駅に一人を見つめてありき
                        (「夕駅」)
 ぼんやりと見上げる空は幽界のひかりとなりし母の棲むそら
                      (「青みぞれ」)
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