判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
施川ユウキ著『バーナード嬢曰く。A』一迅社 2015年

 1巻は、「ああこれで終わってしまうのか、もっともっと読書にまつわるあるあるネタを続けてほしい」と読み終えるのが惜しいような気持で読了した。書店で第2巻を発見したときの嬉しさはなかった!作者も1巻で完結と思っていたところ、ありがたくも続刊となったとか。読書家であるあるいは読書家になりたいあるいは読書家にみられたい人にとって、もうたまらないったらありゃしないネタが今回も次から次へと登場する。
 相変わらず楽して読書家ふうにかっこつけたいが楽をしたい町田さわ子がボケまくり、その他の3人の登場人物(高校の図書室を舞台にしながら合計わずか4人)にすかさず「頭悪そう!」(by遠藤くん)、「いいわけあるか」(by神林)、「読んだことあります?」(by長谷川さん)etc.とツッコミが入るのがワンパターンのお約束だが、楽しいのなんの。
 1巻ではもしかしたら町田さわ子に淡い恋心を抱いているかもと思われた遠藤くんが町田さわ子に次いで頻繁に登場したが、2巻は遠藤くんより出番がぐっと多いのは、SF小説オタクの読書家神林。そして1巻では神林がビシビシ厳しく迷いなく町田さわ子にツッコミをいれていたが、2巻では町田さわ子らから「オタクみたい!」とツッコまれ恥じらうことが多くなっている。神林自身、自分が薀蓄をたれることを止められないオタクであることを恥じ、バカさがあらわな町田さわ子を好きになっている。自分用のほかに「布教用」として町田さわ子に貸すためにもう1冊買っておくほどだ。しかしあわれなことにボケの町田さわ子に振り回される。たとえば、町田さわ子に「往復書簡、なんてカッコイイ響き!!やろうよ!」と言われて、神林は「えっ!私とお前が!?な…なんで!?」と戸惑い照れながら、心をこめて、照れながら書く。怠惰な町田さわ子が嫌いだったが、その姿勢に「時々ある種の純粋さのようなものを見出してしまっています」、物知りで頭のいい人よりも、町田さわ子のほうが「どちらかといえば好ましく思います」(「好きです」といったん書いたのを消して。神林のドキドキ感、いじらしい)、「いつも私のとりとめのない本の話を聞いてくれてありがとう。これからもよろしくね」と。ところが言い出しっぺの町田さわ子は「だめだー!何も書くことない!よしっ、やめよう!!」と朗らかに言ってのけるのだ…。この箇所ではそりゃないだろ!とどの読者もツッコむはすだ(苦笑)。
 合間合間の作者によるコラムも飛ばさず読みたい。宮沢賢治の詩「告別」は、学校へほとんど行かず、友だちもなく、深夜のコンビニで一人バイトをしながら漫画家になりたいと日々ぼんやり夢想していたときに、「告別」はまさに自分に向けられた詩だと感じ、今も暗唱できるという。漫画家になるために不断の努力をしていたわけではなく、「告別」を暗記することに全精力を注いだ時期があったとか。「青春を賭して育んだダメさが、本作のような漫画に結実していると考えれば、そんな過去もアレで良かったんじゃないかと振り返ることができる」。人生、なるようになる。じーんとした。
 まだ続くのだろうか。是非!待ち望んでいる。(良)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK