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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
「ヤマトタケル」(文:鈴木邦男/イラスト:清重伸之 現代書館 2004年)

 知らなかったなあ、日本の神様たちの話。
 ヤマトタケルは、叔母のヤマトヒメノミコトに授かった「くさなぎの剣」で危機を脱し、妻のオトタチバナヒメノミコトが海の神の怒りをおさめるために入水したことで命が助かる。だが、魔性の女ミヤズヒメにうつつを抜かしヒメのところに大事な「くさなぎの剣」を忘れて出陣したため、命を落とす。つまり命を助けたのも殺したのも女性であるということ。女性には母性型と娼婦型が神の世からあったというわけね。とってもわかりやすい筋立てだ。
 もちろん、「古事記」と「日本書記」に依っているわけだけど、「日本書紀」は正統歴史書であるに対し、「古事記」は事実をおもしろおかしく見せる歌舞伎という位置づけをしていて、この本は「古事記」の方の説を採っている。この二大古典に対する著者の見方もユニークで、「そうだったのかもねえ」と思わせる著者の腕前はなかなかのもの。
 サブタイトルに「時を往還する」とあるように、神世の話と現代の話が混在していて話があちこちに飛んでいくのでそのテンポになれるまで読み辛い。しかも著者はかの「一水会」を結成した人であるからして、現代の話は、生長の家のはなしとか野村秋介といった「右翼」がらみのお話になるので、これにアレルギーがあると読めない。でも、こんな破天荒なお話をする人だから、やわらかな姿勢で押しつけがましいところはほとんどない。
 語り口調のせいか、繰り返しが多くやたらにしつこいところがあると思えば、簡単すぎて何だかよくわからないというところもある。それを補ってあまりあるのが、すっとぼけているがひねりのきいているイラスト。にんまりしてしまう。
 半分マンガだからすぐに読めるだろうと高をくくっていたが、アナドレナイ本だった。
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