判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
柚木麻子『ランチのアッコちゃん』双葉社 2013年

 前半2話の主人公は、アッコちゃんではなく、結婚しようと思っていた相手には重いんだよとふられるし、職場でも居場所がない、ダメダメな派遣OL澤田美智子。ダメダメとしょぼくれていたけれども、ちょっと苦手意識のあったカッコいい40過ぎの上司アッコ女史(アニメの秘密のアッコちゃんではなく、歌手のあの人からの発想でのアッコちゃんであった)に、自分の地味なお弁当とアッコ女史のランチを一週間交換しようと提案されて、世界が変わっていくのが第1話。そう、投げやりに詰めたお弁当を職場で地味に食べていればやさぐれた気持ちになるばかりだけれども、ランチタイムのほんの短時間、少し足を伸ばしただけで、世界は広がっていくし、自分自身も変われる。
 第1話のランチタイム時の世界の広がりに対して、第2話は夜中。会社が倒産してからもアッコちゃんは全くへこたれずいきいきとスープの移動販売をしている。新たな職場のつまらない人間関係(正規女性対派遣女性)の板挟みにあっていた澤田は、毎晩出会う様々なひとたち(ホスト、新聞の整理部、看護師…)の世界を垣間見て、どう解決していくか、自分なりに考えることができるようになる。
 『本屋さんのダイアナ』よりも痛みも薄く、電車の中であっという間にすいすい読める。「そんな提案する上司がいるかよ!」「派遣で生活苦しいとかそんな状況が全くみえない!甘い!」「彼氏もすぐできて、ちっともダメダメでない!」などといくらでもツッコミがありうるだろう。スープ屋がちらりとしか出てこない後半の話もしかり。しかし、仕事に疲れた派遣帰り、またしても派遣労働者の重苦しい日常など、読みたいだろうか。おとぎ話、良いではないか。(良)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK