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最高裁家庭局監修『家庭裁判所月報』第62巻第11号 2010年11月

 平成15年4月に東京・大阪養育費等研究会により公表されたいわゆる養育費・婚姻費用算定表は,現在,家裁実務に定着した観がある。算定表は,その目的通り,簡易迅速な処理の実現に資する一方,一律な運用等へ批判も現れてきている。
 松本哲泓裁判官(大阪高等裁判所部総括)による論稿「婚姻費用分担事件の審理―手続と裁判例の検討」が収められた家裁月報本号は,婚姻費用分担事件に関わる実務家にとって,必読文献となろう。
 まず,上記論稿は,婚姻費用分担事件に関する司法統計を概観し,審理の実情も踏まえた後,婚姻費用分担義務(婚姻関係が破綻している場合,有責配偶者からの請求,分担請求者の有責性に対する審理の程度,婚姻費用分担の始期),婚姻費用分担額の算定(総収入の認定,基礎収入の算出,住宅ローン,教育費,医療費,高額所得者の場合等)の諸論点について,多数の裁判例(未公刊も含む。一部養育費に関するものも参照されている。)に照らして実務の運用状況が検討されている。個々の審判に対し率直に批判や疑問も述べられている点も,興味深い。
 家事関係裁判例としても,婚姻費用分担審判に対する抗告事件(東京高決H21.9.28)と婚姻費用分担(減額)審判に対する抗告事件・同附帯抗告事件(大阪高決H22.3.3)が紹介されている。どちらも義務者の減収が問題になった案件であり,上記論稿でも,収入の減少を理由とした減額の申立てが増えてきたとあるのと符合している。世相の反映であるとすれば,今後も同種の案件が増えてくるものとも思われ,参考になる。
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