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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
グロー・ダーレ作 スヴァイン・ニーフース絵 大島かおり・青木順子共訳『パパと怒り鬼―話してごらん,だれかに―』ひさかたチャイルド 2011年

―ぼくとパパとママは3人でくらしている。大きくてやさしいパパ。いつかパパみたいになれるかなあ。…パパがだまっている。ぼくの心臓がかけっこする。ぼくの足がふるえている。ぼくがしゃべっていないのに,しずかにしてなさい,とママ。怒り鬼がパパの首すじにとりつく。パパが怒っているのは,ぼくがいい子でないからかもしれない。ゆるしてよ。ママも,ぼくも,パパも,怒り鬼の火を止められない。―
 DVが,子どもにどれほどの恐怖心と葛藤を生じさせるかをリアルに実感させる本である。子どもにはかなり怖い本ではないだろうか。むしろ,DVをふるう・ふるわれている当事者が,本著を読むことで,DVが子どもの心に深い傷を負わせることを知ってほしいと願う。
 DVのある家庭にいる子どもにとっては,父が加害者更生プログラムを受けて戻ってきてくれることを楽しみにするという結末は,希望となろう。楽観的にすぎないかとも思いつつ,しかし,希望がなければ子どもは救われない。
 実際,日本のDV防止法には,議論の末,加害者更生プログラムについては,「調査研究の推進」が規定されるにとどまり(25条),「実施」の条文は見送られたままである。本著は各紙で取り上げられ,早くも重版となった。これを機に,加害者更生プログラムの実施の必要性が認識され,条文上明記され,全国各地で取り組みが始まることが望まれる。 (良)
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