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三成美保編著『教育とLGBTIをつなぐ 学校・大学の現場から考える』青弓社 2017年

 最近、性的マイノリティについての著書や論文が、活発に発表されている。その中でも、本書は、「教育」の場における権利保障に着目したすぐれた書である。2016年5月の日本学術会議の法学委員会社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会(LGBTI分科会)によるシンポジウムをもとにしている。同分科会では、これまで、「性的指向」「教育」「雇用と労働」のという3つのテーマについて、シンポジウムを開催した。その成果をふまえて、同分科会の「提言」(2017年9月29日)が日本学術会議で採用され、ウエブ上で公表されている(http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t251-4.pdf)。提言自体も、詳細で圧倒的な研究成果である。
 今後、『LGBTIの雇用と労働(仮)』も発刊が予定されている。
 教育の場における権利保障については、文科省が取り組みを始めているが、初等、中等教育に限定されている。本書では、大学教育における課題もとりあげ、アメリカでの取り組みを始めてとして国際比較、国内では国際基督教大学での実践などが紹介され、他大学の参考になる。
 当事者だけでなく、学校の現場の方々、特に教員の方々に読んでほしい。在学証明書ほか多数の書面に性別記載欄をもうけるか、学生の通称使用を認めるか、女子大学への入学時に戸籍上女性だった者が戸籍上の性別を男性に変更した場合の処遇(退学の必要があるのか)、トイレの問題、学生への支援体制等々、問題は尽きず、即実践につなぐことのできる実務書でもある。かつ、具体例もふまえて、当事者の立場に立った権利保障の必要性、包括的な法整備の必要性を説いている。(富)

目次
はじめに(三成美保)
序章 教育でのLGBTIの権利保障の課題(三成美保)
第1部 学校教育でのLGBTIの権利保障
 第1章 生徒による取り組みの紹介―丹原東中学校の実践から(岸田英之)
 第2章 LGBTI当事者のケアに向けた学校と医療施設との連携(中塚幹也)
 コラム1 LGBT/SOGIに関する包括的な法整備の必要性(谷口洋幸)
 第3章 多様な性をもつ子どもの現状と教育現場で求められる対応について(薬師実芳)
 第4章 「性の多様性」教育の方法と課題(渡辺大輔)
 第5章 教育採用試験での適性検査 MMPIの見直しの必要性(岩本健良)
第2部 大学教育でのLGBTIの権利保障
 第6章 日本の大学での性的少数者に関する調査結果(隠岐さや香)
 第7章 大学での性的指向と性自認が非典型の学生支援の課題(河嶋静代)
 コラム2 性的マイノリティ問題への取り組み―国際基督教大学での実践からみえてきたこと(田中かず子)
 第8章 トランスジェンダーの学生受け入れとアメリカの名門女子大学―もう一つの「教学」論争後のアドミッションポリシー(橋裕子)
 コラム3 トイレ騒動―現在進行形(紙谷雅子)
おわりに(戒能民江)

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