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『司法における性差別――司法改革にジェンダーの視点を』
日本弁護士連合会 明石書店

 男女差別救済の最後の砦は言うまでもなく裁判所をはじめとする司法界である。が、同時に男女差別構造の最後の砦も司法界である。
 裁判官のジェンダーバイアスについての指摘は少しずつ行われてはいるが、本格的な意識調査も行われたことがなく、実態は闇の中だ。
 今年(2002年3月)に日本弁護士会が行ったシンポジューム「司法における性差別」は、その闇に光りを当てようとしたものであり、本書はその報告書である。
 巻末に収録されている弁護士対象と一般を対象にした「司法におけるジェンダー・バイアスに関するアンケート」は、現在の裁判官など司法に携わる人々のジェンダー感覚が窺えて非常に興味深い。とくにバイアス言動の実例、たとえばDVにあった妻に対して「男は我が儘なので女が我慢すべき」「妻は夫の暴力に対してそれを起こさせないようにする責任がある」など、驚くべきものがある。DV、SH、離婚の場では、ジェンダー・バイアスが発現しやすく、それに基づいた判決がでるなど、女性の人権擁護の上で重要な問題をはらんでいる。
 育児休業をとった裁判官(男性判事補)が、「村八分」的状況に追い込まれ、ついには大学教授に転身したケースの報告など、多分そうだろうとは思っていたががっくりする。
 だけど嘆いていても始まらない。黙っていては何も変わらない。このシンポジュームでは、法曹養成機関に女性に対する暴力および女性の人権に関するテーマを必須科目とするべき等、司法界変革への具体的な提言も行っている。現在、進められている司法改革のなかにジェンダ−視点を盛り込まなくてはという気持ちになる説得力のある1冊である。
 シンポジューム報告書にしては、資料などが行き届いていて、好感がもてる。

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