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小島妙子『ドメスティック・バイオレンスの法――アメリカ法と日本法の挑戦』(2002年・信山社)

 〈ドメスティック・バイオレンスとは?〉
夫婦間の暴力を「犯罪」とするDV(ドメスティック・バイオレンス=夫婦間の暴力)法が施行されて1年が経ちました。わが国では、もともと夫婦間の暴力は、私的なこととして扱う「伝統(「夫婦ゲンカは犬もくわない!」など)」があり、夫婦間の経済的な力関係や世間体などの壁にも阻まれて、表面化することはあまりありませんでした。しかし90年代後半になって、多くの女性達が家庭内で、夫から身体的・心理的・性的虐待を受けている事実が各種の実態調査などで明らかにされ、しかもその加害者である男性(=夫達)は、社会的地位や学歴に関係なくあらゆる職種に亘っており、このような夫からの暴力によって「命の危機を感じた」女性が20人に1人に達している、という衝撃的な結果も明らかにされるようになりました。このような実態に直面してようやく国も昨年10月13日、DV防止法を施行し、社会からドメスティック・バイオレンスを放遂することに本腰を入れるようになったのです。
 〈本書の特徴〉
本書は、DV防止法施行1年を経った本年10月に刊行されたものですが、弁護士である著者が10年以上前に担当したDV事件を契機として執筆した、いわば著者自身の「ライフワーク」(あとがき)としての書でもあります。本書は「日本法とアメリカ法の挑戦」という副題が示す通り、DVに対するわが国とアメリカ社会の取り組み、法規制とその問題点を包括的に論じており、わが国における今日のDV研究の到達点を示すものともいえましょう。とりわけDVの「犯罪」化を先行させたアメリカの経験を丹念にフォローする中で、DV規制の問題点を抽出し、DVの「犯罪」化のみでは社会から排除できないことを論じており(第2章)、それとの対比で、わが国におけるDV法の評価については、「警察介入の是非とその限界」を論ずることをさけて通ることができないと述べており、警察をどのような視点でとらえるかというすぐれて今日的な問題に対する「挑戦」の書ともなっているといえます(第5章の三)。
DVは「個人的な問題」ではなく「社会的な問題」である、との視点からDV問題への法的取り組みに関する総合的検討を加えた書として、是非多くの人々に読んでもらいたい好著です。 (水谷英夫)

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