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「離婚後の親子たち」 氷室かんな著 太郎次郎社 2005年

 巷に離婚本はあふれている。ノウハウ本、法律の本・・。この本はその中でも題はさらっとしているけれど、文字通り、離婚後の親子関係の再構築を考える本である。
 子に会うことのできない親は、子が思ったより冷静で中立で、長い音信不通の時間にも自分のことを思っていてくれることを少し理解できるし、会わせたくない親は自分の感情で子どもに犠牲を強いていることもわかる。また、地域社会など周囲の価値観とかけはなれた行動をとることがなかなか困難なことも。何よりこれから離婚しようと思っている方に、読んでほしい。子と別居親の関係を中心に、子どもの気持ちを一番大事に考えれば、離婚の仕方も180度変わる場合がある。
 夫婦や親子の事情は、一方当事者の話だけでは絶対にみえないものがあるが、この本の著者は、両方の当事者から話を聞く努力をしている点がいい。また、「夫婦はやめても親はやめない」と帯にあるが、共同親権、共同監護の選択肢をと求めている。
 法廷ウオッチングの場面は、弁護士や裁判官も読むといい。尋問中に携帯電話が鳴り、マナーモードに変えて器用にメールを読みながら尋問を続ける弁護士(有能あっぱれ、というか、ドライというか)、「私が聞いていることにだけ答えてください」と当事者の証言を制する弁護士(これは裁判では日常茶飯事のことだが)、などなど。法廷には当事者の感情をすくいあげる手段がどこにもない、と筆者はいう。しかし、法廷はそういうものだともともと割り切るべきだろう。裁判官や弁護士はカウンセラーではない。長時間、双方の意向をくみながら一審判決までに三年くらい要していた20年以上前の離婚裁判は、かえって当事者を苦しめた。気落ちをくむのは、自身の代理人と法廷の外でのみ。長い間のもつれあった人間関係を裁判官が裁くことは本当はできない(どちらが何%悪いなどと)。むしろ裁かずに別居何年で離婚と法律が決め、裁判官による不公平を廃した方が当事者は納得がいくと思う。欧米より30年くらい遅れてしまった離婚法。離婚原因をあばきあうより子の福祉が最大の論点になる制度になるといいと思う。
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