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浅倉むつ子・萩原久美子・神尾真知子・井上久美枝・連合統合生活開発研究所編著『労働運動を切り拓く―女性たちによる闘いの記録』旬報社 2018年

 いま労働組合の組織率は20%を切っている。「労働組合なんてダサイ」と若者は鼻でわらう。労働組合運動の華やかな時代を知っている人間にとっては想定外の「変化」だ。
 経営者と互角に戦う労働組合なんていうユートピアが信じられている時代にもそのなかに女性はいなかった。いや数としてはいたのだけれど、リーダー的存在にはなれなかった。女性労働者が活躍できるのは「生理休暇闘争」と産休などの母性保護闘争にほぼ限定されていた。
憲法や労働基準法で男女平等はうたわれていたけれど、労働の場における男女差別は驚くくらい明らかだった。それを裁判闘争で一つ一つその壁(たとえば女性若年定年制、昇進・昇格差別)を崩していったのは原告となった一人一人の女性労働者であり、彼女たちを支援した多くの女性労働者、研究者、弁護士だった。そのような闘争に対しても当初労働組合は冷たかった。
 その潮目が変わったのは、1979年の女性差別撤廃条約の成立あたりからであろう。日本ではこの条約の批准を目指して、70年代後半から80年にかけて男女雇用平等法の制定を求めて幅広い運動が展開され、労働組合の女性たちも市民運動や女性運動と連帯してこの運動の中心的役割を担っていった。内部から労働組合の根強い「オヤジ体質」を変えていったのは組合内部の女性たちであった。
 本書は、そのような女性12人の聞き取りをベースに均等法制定を中心にその後の労働運動の歴史と課題を振り返り、いまなにが働く人々にとって大事なのかを明らかにしようとしている。
 1労働組合運動と女性の要求、2高度成長からオイルショックへ、3男女雇用平等に立ちはだかった「保護と平等」、4経済大国ニッポンと労働運動再編の時代、5過去の運動を次の世代へ、6ポスト均等法の労働世界と運動の広がりの6章に章別されている、このタイトルをみれば明らかなように日本の現代史そのものである。労働法上のテクニカルタームのコラム、資料、関連年表と丁寧な作りになっている。
 12名の中にはすでに亡くなった人々も含まれている。貴重な歴史的証言を闇に葬らないで、その志を次世代の人びとが受けついていくバトンとしての役割をこの深紅の本が果たしてくれる。
 著者の一人である浅倉むつ子さんの紹介をぜひ読んでみよう。https://wan.or.jp/article/show/8122(巳)
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