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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
井原美紀『りこん日記。』集英社文庫 2005年

 ただものではない!7年の結婚生活(交際してから14年)で5回も浮気した元夫の恋愛中毒ぶり、妻子への責任感、後ろめたさの欠如も。そんな元夫にすがっていた自分の情けなさや愛情が憎しみにいつしか転化したことを直視した上他者が一気に読めるような文章に昇華させた手腕も。さらには離婚後も無神経で残酷な元夫(ケチった養育費から面会交流時の食費を抜いていいか、などとさらりというetc)やその両親(愚息が浮気を繰り返したことも何も全て「性格の悪い嫁」=著者のせいだと孫に繰り返すような輩たち)に頼まれなくても子どもたちとの面会交流を続けさせようとする意気にも、感嘆。
 そして、なにより、逆境をバネにパワーアップしていく前向きさ。「最大の悲劇だと思った離婚の瞬間こそが、ようやく色々な楔から解放された瞬間だったのだ」。全財産が財布の中の5000円と気づいてボー然…としみったれてなんかいない。まずはシャンパンを買って飲んでみる。あれだけ愛し合った元夫に裏切られた上ことごとく就職試験に落ち続けている事実は、ネガティヴ思考になってもポジティブ思考になっても変わらない。では、幸せに楽しく生きた方がいい!そして素晴らしいのは、とてつもなくヒドイ元夫にも幸せになってほしいと願い、穏やかできちんとした人になっている様子を嬉しく受け止められる著者の度量だ。
 こんな前向きなお母さんのもと、お子さんたちは健やかに成長したようだ。そして、もちろん著者にもご褒美がある。本著の中にある、ちゃんとお金を稼いで子どもたちを育てあげ、素晴らしい男性と恋愛し、世界中を旅すること、という著者の願いは叶えられた。前向きに遮二無二頑張れば、道は開ける。相手を憎みながらもすがり、ナスティゲームのドロ沼から抜けられないひとにとって、救いのバイブルになろう。
 願いが叶えられたのをなぜ知っているのか?著者とFacebookお友だちだから。最初リアルで会ったときは、正直あまりの美貌に気が引けた(私は美人を前にすると緊張するタイプ)。そう、離婚のナスティゲームの際は「お肌カサカサの疲れたオバさん」だったそうだが、そんな過去が信じられない美しさ。その後生き生きしたFacebook投稿のやり取りをしていくうちに、すっかり楽しくパワフルな女子校ノリに「同志!」愛まで感じる仲に。残念なのは、彼女が離婚する際には私はまだ弁護士ではなく、お役に立てなかったことだ。最終的にはいい助っ人(弁護士)にめぐり合えたようでほっとしたが、ひと肌でもふた肌でも脱ぎたいところだった。明るい前向きなリスタートにお役に立てる、離婚弁護士のやりがいも改めて感じ入った。(良)
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