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高橋源一郎・SEALDs著『民主主義ってなんだ?』河出書房新社 2015年

 集団的自衛権行使を可能とする安保関連法など、違憲ではないか。でもまあ、閣議決定されてしまった。こんな顛末になることを、選挙のときに予想しなかった有権者のせいだ。ああ全く…。と諦念に達していた私ですら、マスとして反対する意思を表明しなければならない、と駆り立てられて、この夏国会議事堂周辺に馳せ参じることになった。衆院憲法審査会での与党推薦の長谷部恭男教授らが「違憲」と明言した以降の懸念する世論の盛り上がり、そしてSEALDsほか若い人たちの頑張りに発奮したからである。
 ほとんどの憲法学者、さらには元最高裁長官まで違憲と評価している上、強行採決どころから採決があったかも疑わしく、成立にすら疑念がもたれる安保関連法が「成立」したものとされてしまう…。立憲主義、民主主義の危機に慄然とし、絶望しそうになる。
 しかし、絶望してはいられない。「民主主義が終わってるなら、始めるしかない」。SEALDsの奥田くんたちのフレーズは、ぐっとくる。「民主主ってなんだ?」「これだ!」。正直、国会議事堂周辺には、「昔ながらの」のぼりなんかもあった。多分、SEALDsに惹かれる人たちにとっては「どんびき」なスタイルの。それらの運動をしているひとの頑張りだって尊い。頭が下がる。しかし、そんなスタイルの運動からは正直距離を置きたいという人にも(私だ、すみません…)、フォントから何から気にして練り上げたデザインやら、ヒップホップテイストでコールしてくれるSEALDsのノリの良さは、「行ってみようかな」と思わせてくれる何かがあった。
 民主主義って、「めんどくさい」。その定義だって定かではない。起源のギリシアだって女性を排除するなど問題があった。いや、起源も定かではない、ネイティブアメリカンかもしれない(イロコイ連邦説)。正しさと民主主義が折り合いがつかない場合だってありそう。劇毒のときだってある。でも、「かなりめんどくさいけど、「民主主義だから仕方ないし、やるか…」的な。」(155頁、奥田くん発言)。「我々は平和を愛し…」と複数語を主語にせず、「俺はムカついてて」と個人個人の日常の言葉で始めたい。
 民主主義が終わった、と呆然としていてはいられない。「民主主義ってなんだ?」「こうじゃないかな」…延々と実践していきたい、と励まされる。
 もちろん、SEALDsのメンバーのコールやスピーチ、本書の語りでも、ツッコミどころを探そうと思えば盛りだくさんだろう。懸命に考えてはいるが、しっかりした方法論と知識の蓄積がある論文でもないのだし、ビシビシ足りないところを討っているより、まあ安保関連法のことを批判したい。じゃあお前がやれと言われたら私なんぞもっと至らない揚げ足とられる軽率なスピーチをしてしまいそうだし。もっとも、何も批判はダメ、というのも不健康。SEALDsのメンバーを「正解」を教えてくれる「救世主」や「ヒーロー・ヒロイン」のように崇めるのも違うだろう。若々しさがまぶしく、ついそうしたくもなるが、ぐっとこらえよう(勝手に崇めると、逆に幻滅も激しくなりそう…。不毛だ)。非常に目立っただけに、毀誉褒貶激しいらしい。へんな消耗はしてほしくない。
 大切なのは、SEALDsをどう評価するかより、民主主義を実践していくことだ。SEALDsが何を言ったかを問題にするより、むしろそれぞれが発言すればいいのだ。「ちょっとちがうんじゃね?」「こう考えたほうが良くね?」(←言い回しはすぐ真似したくなる性分です)と延々と対話をしたい。対話を続けながら、立ち止まらず、できるだけ、自由で、平等な社会にしていきたい。そうそう、民主主義ってこれだ!(良)
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