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『セクシャルハラスメントとどう向き合うか』(落合恵子・吉武輝子・岩波書店)

20年近く前、落合さんの小説『シングル・ガール』が映画化されたとき、原作にないレイプシーンがおりこまれ、しかもそのヒロインがレイプを自分の性体験として位置づけていることに、落合さんが抗議したところ、「リブの女性のヒステリー」などと大きく報道されたことがある。彼女はそのとき、もはや物を書く人間としては生きていけないと思い、孤立無援の戦いに苦しんでいた。そんなある日「いっしょに闘いましょう 吉武輝子」というメッセージのある花束が届いた。このことを思い出すといまでもうるうるしてしまうと落合さんは告白している。そして「吉武さんに何かがあったときは、わたし、命かけたって守っちゃうもんね」と思った、とも。
 幼児の時、当時日本に駐留していた進駐軍に集団レイプされた経験をもつ吉武さんだからこそさしのべられた連帯と友情の手である。 そして吉武さんは今から約半世紀前に映画会社の入社試験の際いまでいう「セクハラ面接」を受け、それに対して満身の抗議をして職を実力でもぎとる。日本で初めてのプロデユーサーに抜擢された直後の妊娠。育児と仕事の両立の目処がつかないままに、自然流産を願って階段から飛び降りたりしたという(若い人にとっては想像外のことだろうが、そんな女性がたくさんいた日本。つい20年ほど前のことである)。出産を終えて職場復帰をしてみれば、会社の「温情」の名のもとに責任のない部署に異動。この出産を機に家事・育児を妻に任せて出世街道をばく進する夫との乖離。取り残された吉武さんの孤独。
 セクシュアル・ハラスメントについては関する知識や情報ももりこまれているブックレットだが、二人の対談からなる個人史の部分がジーンとする。一人一人の女性の戦いがバトンされて伝わっていけばいつかは強固な社会の枠組みも変えられるという熱い思いが伝わってくる。彼女たちはいう「女たちの世直しは駅伝方式」。後に続くランナーはどこかに必ずいると信じたいが。

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