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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『りんごの木の下であなたを産もうと決めた』(重信房子・幻冬社)

「しげのぶふさこ」…私にとっては忘れられない名前だ。しかし、パレスチナ民族解放闘争を武装して支援する日本赤軍の最高責任者のひとり、黒く長い髪をもつ笑顔の美しい女性という以上に詳しくは知らなかったが、ごくまれに彼女が健在で活動しているという報道に接すると、北極星を見るような安心感(?)を得たものだった。だから昨年秋、彼女が大阪で逮捕されたときには、「全てこれで終わった」という寂寥感があった(こんな事を言うのは顰蹙ものだろうが)。彼女はパレスチナで一人の女の子(命をあらわすメイと名付けられた)を産み育てた。今年の春、28歳になるメイさんも日本にやってきたが、彼女へのメッセージとして獄中で書いたのが本書である。実際には警視庁の留置場で書きつづった法務省宛の上申書でもある。母と娘の写真も収められている。重信の生い立ちからアラブの革命に命を懸けるまで、パレスチナ闘争の意味、そしてあの連合赤軍のリンチ殺人事件についてもふれられている。
「嫌いになるまで好きになる」という重信の激しい恋愛観やいつも危険と背中合わせの生活のなかでの母と子の交流、仲間との共同の子育てなど印象に残る部分がたくさんあるが、時代の証言としても貴重な1冊ではないだろうか。大新聞の書評がまったく無視したのはなぜだろう。
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