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4−2004.3.2 戸籍続柄記載訂正事件
戸籍の「父母との続柄」欄について、婚外子と婚内子を区別して記載することはプライバシーを侵害するとされた例
[裁判所] 東京地裁
[年月日] 2004(平成16)年3月2日判決
[出典] 戸籍時報579号15頁、LEX/DB28092213
[事実の概要]
事実婚夫婦とその間の子3人が、子の「父母との続柄」欄の区別記載につき、中野区及び国を被告として、区別記載をやめること及び損害賠償請求を求めた。嫡出子は「長男」「次女」式に、非嫡出子は「男」「女」、男の養子は「養子」、女の養子は「養女」と記載される。この区別記載が憲法14条、13条に反すると原告は主張した。
[判決の概要]
判決は、「非嫡出子であることを判別できるようにするとの民法上の要請に基づき非嫡出子であることというプライバシーに属する事柄を戸籍に記載せざるを得ないとしても、国民のプライバシー侵害が必要最小限になるような方法を選択し、非嫡出子であることが強調されることがないようにすべきであり、その程度を超えた戸籍の記載は、プライバシーの権利を実質的に害するものとの評価を免れないというべきである。・・・本件戸籍の続柄欄における嫡出子と非嫡出子とを区別した記載は、前期の戸籍制度の目的との関連で必要性の程度を超えており、原告らのプライバシー権を害しているものといわざるを得ない。」として権利侵害を認めたが、区別記載をやめよという差止請求は認めず、また国が戸籍法施行規則ひな型を放置してきた行為に違法性はない、中野区は国の規則に法的に拘束されているので違法性はない、とした。
[ひとこと]
婚外子差別の1つの象徴であった戸籍の続柄について、プライバシー侵害を認めたことは画期的。おおもとの民法の相続分差別も問題。
控訴審の東京高判2005(平成17)年3月24日(4-2005.3.24)では、プライバシー侵害はないとされた。
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