判例
1  離婚原因
1-1 有責配偶者からの離婚請求
1−1−2003.1.31
 12歳、9歳の子がいるが、離婚が認められた例
[裁判所] 那覇地裁沖縄支部
[年月日] 2003(平成15)年1月31日判決
[出典] 判タ03年9月15日1124号
[事実の概要]
 2回目の離婚裁判で有責配偶者からの離婚請求が認められた例。一度目の那覇地裁判決は別居6年、婚姻費用を滞りなく支払い続け、妻希望のマンションを購入し支払い完了し、次女が成人するまで無償使用を認めるとしているとして離婚認容、その控訴審判決は、具体的で誠意があると認められる提案をしたことはない、9歳、6歳の子は成長のために父親が最も必要な年代、として離婚棄却し、上告不受理決定により確定した。その確定1ヵ月後に夫は再び離婚調停を申し立て、確定1年3ヶ月後に地裁へ2度目の提訴をした。口頭弁論終結時で別居8年強、同居は3年7ヶ月である。子は12歳と9歳。1度目の判決確定後、妻が夫を困惑させる行動をし、子が父を非難するメールを送り、夫は妻が子を使っていると考え妻へ抗議の手紙を送り、妻からは何の反応もない、という経過があった。夫(医師)は、毎月子1人あたり15万円、3,7,12月はさらに子1人あたり10万円を加え50万円を送金し続けた。離婚慰藉料300万円を提案している。
[判決の概要]
 「前訴の口頭弁論終結後の事情からすると、本件は、前件当時以上におよそ回復の見込みの全くない程度にまで原告と被告の婚姻関係の形骸化が進行している・・原告と被告との葛藤ないし緊張が継続又は増大していくであろうこともまた容易に推察できるところ、これらの葛藤ないし緊張が未成熟の子らに与える影響の重大さを考慮の外におくわけにはいかない・・離婚を是認しなければ父親である原告と子らが接点を持つこと自体、きわめて困難になりつつある様子も窺われるところである。」として、口頭弁論終結後の事情の変化があったとして再度提起された離婚の請求が認容された。
[ひとこと]
 有責配偶者からの離婚請求が、子の年齢12歳、9歳という低年齢で認められたのは例がない。離婚しないことがかえって子と父親の関係を悪化させているとの認定もはじめて。
 控訴審判決も認容。1−1−2003.7.31
 
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