判例
2 離婚慰謝料

 一方の配偶者の有責行為によって離婚にいたった場合は、他方はその精神的苦痛について慰謝料の請求をすることができる。離婚慰謝料には、離婚せざるをえなくなったことについての離婚自体慰謝料と離婚原因となった行為により発生する慰謝料があるが(遅延損害金の起算点は異なる)、多くの場合、実務で両者はあまり区別せずに主張し、認定されている。その法的性質は不法行為による損害賠償請求(民法709、710条)である。離婚原因慰謝料の中でも、ざっくりと破綻の原因となった有責行為全体についての慰謝料請求をする場合と、個別の不法行為に基づく慰謝料請求をする場合があり、後遺障害など損害の大きい場合には個別の請求をする方が多額の認定となることがある。
 慰謝料の原因については、不貞行為、暴力、悪意の遺棄、不利益な事実に関する虚偽の告知、性交渉の拒否、円満な家庭を築く努力を怠る、自己中心的な行為などがある。
 慰謝料の金額については、双方の有責性の程度、被害の程度、婚姻期間(婚姻期間が長いほうが高い)、経済状態(有責配偶者に資力があるほうが高い)、財産分与による経済的充足の有無(経済的充足があるほうが低い)、当事者の年齢(年齢が高いほうが高い)、未成年子の有無(未成年の子がいるほうが高い)など、離婚に至る一切の事情が考慮され判断されているが、客観的な基準が存在するわけではない。通常100万円から500万円の間となることが多く、500万円を超えて認められることはまれである。

2−1−不貞行為が原因の場合
2−2−暴力,悪意の遺棄が原因の場合
2−3−不利益な事実の不告知が原因の場合
2−4−性交渉拒否が原因の場合
2−5−その他、円満な家庭を築く努力を怠った場合・自己中心的な
    行為がある場合

2−6−慰謝料が否定された例
 
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