判例
【性格の不一致】
 性格の不一致のひとことでは、くくりきれないさまざまな離婚原因がある。
ここでは、「不仲」でかつ「責任は5分5分」つまりいずれか一方が有責配偶者であるとは認められなかった場合をとりあげた。
 裁判に至っても被告が離婚を拒否している場合、「回復の見込みがない程度に破綻」しているか否か(つまりこれが民法770条1項5号にあたるか否か)が争点となる。しかし、どの程度の不仲、どの程度の別居期間で破綻が認められるかについては、あまりはっきりした基準はなく、ケースバイケースであり、弁護士にとっても結論を見通しにくい分野である。担当裁判官の価値観に左右される面もある。別居が短期間で離婚が認容された事案は、判例集にはほとんど掲載されておらず、以下はいずれも未公表判例である。いずれも、被告は、いまだ破綻しておらずやり直したいとの主張をしている。なお、下記の「別居期間」は、いずれも判決言い渡し時における期間である。

1 別居期間3年5ヶ月で離婚が認容されたケース 
  大阪地判1992(平4)年8月31日 未公表


2 別居期間2年11ヶ月で離婚が認容されたケース 
  東京地判1996(平8)年12月16日 未公表


3 別居期間3年2ヶ月で離婚が認容されたケース 
  山形地判1997(平9)年12月10日 未公表


4 家庭内別居4年3ヶ月で夫から妻に対する離婚請求が認容されたケース 
  大阪地判2002(平14)年6月19日 未公表 
  毎日新聞02.6.28朝刊(大阪版?)に掲載 


5 別居期間1年2ヶ月で離婚が認容されたケース
  大阪高判2009(平21)年5月26日
  家月62巻4号85頁に掲載 

 
TOP BACK