2 教育の場で
2‐1 教育者から学生・生徒に対する事例
2-1-2006.09.08 Y大事件控訴審(名古屋)
大学のセクハラ防止規定に基づく債務不履行を認定した事例
[裁判所]名古屋高裁
[年月日]2006(平18)年9月8日判決
[出典]毎日新聞9月9日WEB配信記事
[事実の概要]
会社員Xが学生時に教員らに性的嫌がらせを受けたと学生相談員の臨床心理士に相談したところ、内容を大学職員に漏らされプライバシーを侵害されたとして損害賠償を請求。Xは「純粋な悩み事相談のつもりで、調停などは全く想定していなかった。調停委員の言動で二次被害に遭った」など訴えていた。大学側は「相談員が担当事務局に内容を伝えるのは、手続を円滑に進める上で必要なこと。調停は電話でXの同意を得ていた」などと主張していた。一審は請求を棄却したため、Xが控訴。
[判決の概要]
「電話は一方的で調停の同意はなかった。公式手続の選択が話し合われる前に課長に伝えたのは守秘義務違反。調停委員の言動はXの苦痛を増大させた」などと認定し、請求を棄却した一審の判決を変更し、大学側に80万円の支払いを命じた。
[ひとこと]
原審中間判決について、2−1−2003.10.09で記載。
                        (本件全体につき、文責折井純)