判例 働く女性の問題
1 賃金、昇進・昇格

1−2005.4.12 藤沢薬品工業事件
違法な男女差別があると主張されている比較対象者と相手方との賃金格差、昇格・昇級格差の有無を審査するに当たり、訴訟当事者にとって必要不可欠な賃金台帳、労働者名簿などを開示するのは相当
[裁判所]大阪高裁
[年月日]2005(平成17)年4月12日決定
[出典]労働判例894号14頁
[決定の内容]
 1―2004.11.12決定の抗告審
「労働者名簿や賃金台帳の作成目的や記載内容は、一方では、労働基準監督官などの監督行政機関に提出するためのものであるとともに、他方では、労働者の現実の労働条件を記録化することによって、労働者に対しては、監督行政機関の監督権限の発動を促すことを介して、法令に適合しない労働条件を改善する機会を与えるものであると解することもできる。」
「違法な男女差別があると主張されている比較対象者と相手方との賃金格差、昇格・昇級の有無を審査するにあたり、比較対象者の賃金の推移、昇格・昇級の推移を認定することが不可欠であり、逆に、抗告人においても、違法な男女差別でないことを主張立証するには、当該比較対象者の個人情報に属する各賃金の推移、昇格・昇級の推移を主張立証することが許されなければならないから、本件資格歴等が当該比較対象者のプライバシーに係ることは明らかであるとしても、抗告人及び相手方双方にとって立証上不可欠な資料であるということができる。」