判例 働く女性の問題
1 賃金、昇進・昇格

1−2008.1.31 兼松男女差別事件
1−2003.11.5 兼松男女差別事件の高裁判決
[裁判所]東京高裁
[年月日]2008(平成20)年1月31日判決
[出典] 労働判例959号85頁
[事実の概要]
1−2003.11.5 兼松男女差別事件に同じ。
[判決の概要]
原告が問題としている92年以降、@事務職の女性が定年まで勤務しても27歳の一般職の男性と同じ賃金に達しなかった、A職務内容が同じ程度であった男性一般職と原告の間に相当な賃金格差があったことから、違法な男女差別が続いていたと指摘、97年の新人事制度でも賃金格差は引き継がれたと認定、毎月の賃金と一時金を合わせて1月10万円の損害に慰謝料を加え、1人当たり842万円から2355万円の賠償を会社側に命じた。
[ひとこと]
今回の判決について以下の3点で朝日新聞編集委員の竹信三恵子は評価する(朝日新聞2008年2月1日)。
1 原告の女性たちの職務を「同質性があると推認」される30歳程度の男性
 の一般職と比較しても格差に合理性がないとして、労基法4条違反とした
 こと
2 事務職の勤務地が限定されていることは賃金格差の合理性の根拠には
 ならないと判断
3 一般職への転換試験を設けているとしても、ハードルが高すぎ、この水
 準に達しない一般職男性もいること、転換後の格付けが低いことから、  実質的な格差是正措置とはいえないとしたこと
平成21年10月20日、最高裁は双方の上告を棄却する決定を下した。これにより、東京高裁判決が確定した。