判例 働く女性の問題
1 賃金、昇進・昇格

1−2009.6.29 昭和シェル石油事件
[裁判所]東京地裁
[年月日]2009(平成21)年6月29日判決
[出典]判時2052号116頁
[事実の概要]
女性社員12人が、会社を被告として、女性であるがゆえに差別に取り扱われたとして、差別がなかった場合の地位確認及び差額賃金等、約5億5000万円の損害賠償請求をした。
[判決の概要]
少なくとも93年の時点で、男女同一の労働条件による雇用契約が結ばれていたのに、違法な男女別の昇格管理があり、さらに00年に新人事制度が導入されたが現在も旧制度の差別の影響が継続し、労基法4条に違反すると指摘し、1人当たり200万〜600万円の慰謝料など計4945万円の支払いを命じた。しかし、滞留年数による昇格請求権を認めるのは,困難であるとした。また,給与差額については「原告らが本来受けるべき賃金の損害額を算定することは困難」として認めず、民事訴訟法248条によって相当の損害額を認定することもしなかった。
[ひとこと]
原告は、「今働いている女性への差別も認めた点で評価できるが、給与差額の是正につながらず残念」と控訴した。詳細は下記サイト参照
http://homepage3.nifty.com/showashelllaborunion/
先行の昭和シェル石油事件判決(1−2007.6.28)は、2009年1月22日に確定した。