4 その他
4-4 家族による事例
4-4-2005.10.14 祖父による性的虐待事件(東京)
祖父X男が、孫A女に対し8年間にわたって性的虐待を行ったためA女がPTSDを発症したことにつき、20年分の逸失利益を認め、約5,920万円の支払いを命じた事例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2005(平17)年10月14日判決
[出典]判時1929号62頁
[事実の概要]
X男は、息子が離婚したため同居することになった小学6年生の孫A女に対し、同居開始数ヵ月後から、風呂場でわいせつ行為をするなどの性的虐待を始め、多いときで週に数回性交を強いるなどした。X男は「誰かに話したらおまえを殺して僕も死ぬ」などとA女を脅し、8年間にわたり性的虐待を続けた。A女は誰にも相談できず、高校2年生の頃から体調を崩し、X男と別居後にPTSDと診断され、24歳の現在も仕事ができない状態。X男は「孫娘にわいせつ行為をするというのはあまりにとっぴ」などと全面的に否定。
[原告の請求]約1億2,500万円
[判決の概要]
X男は、約5,920万円支払え。A女の証言は具体的で説得力に富み、信用できる。長期間に及ぶ性的虐待行為のためにPTSDを発症したとの診断あり。A女は最も重症のPTSDとなっており、性的虐待行為との間に因果関係がある。PTSDの症状が行為障害として固定し、就労できない状態になったので、20年分の逸失利益を認容。
[ひとこと]
性的虐待によるPTSDで20年分の逸失利益を認容した画期的な事例。子どもの頃の性的虐待について成人後に賠償請求した事案として以下がある。
4-4-2002.01.16 実父によるわいせつ事件
2-1-2003.03.31 ピアノ教師事件
2-1-1999.07.29 M大学ピアノ講師事件