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2011.3.18
妻が夫以外の男性との間にもうけた子につき、当該子と法律上の親子関係がある夫に対し、離婚後の監護費用の分担を求めることが権利の濫用に当たるとされた事例
[裁判所]最高裁第二小法廷
[年月日]2011(平成23)年3月18日判決
[出典]最高裁ホームページ
[事案の概要]
夫と妻は,1991年に婚姻し,1996年に長男,1999年に三男が出生した。1998年に生まれた二男と夫は自然的血縁関係はなく,妻は同年にはそのことを知ったが,夫には告げなかった。夫は,妻に,2000年1月から2003年末まで,ほぼ毎月150万円程度の生活費を交付してきた。2004年1月には夫の不貞等が原因で夫と妻との婚姻関係は破たんしたが,その後婚姻費用を月額55万円とする旨の審判が確定した。
夫は2005年に初めて二男との間に自然的血縁関係がないことを知り,同年親子関係不存在確認の訴え等を提起したが,却下する判決が言い渡された(確定)。
夫が妻に対し離婚等を請求し,妻も反訴したところ,原審(東京高裁2008(平成22)年11月6日)判決)は,長男,二男,三男の親権者を妻と定めたほか,二男の監護費用につき,二男との間に法律上の親子関係がある以上,夫は監護費用を分担する義務を負い,その額も長男と三男と同額(月額14万円)を相当とした。夫が上告。
[判決の概要]
被上告人は,上告人に,二男と上告人との間に自然的血縁関係がないことを告げず,上告人がこれを知ったのは,二男の出産から約7年後のことであった。そのため,上告人は,出訴期間内に嫡出否認の訴えを提起することができず,親子関係不存在確認の訴えは却下され,もはや親子関係を否定する法的手段は残されていない。
他方,上告人はこれまでに二男の養育・監護のための費用を十分に分担してきた。
さらに,被上告人は離婚に伴い,相当多額の財産分与を受ける(合計約1270万円)。二男の監護費用を専ら被上告人に分担させても,子の福祉に反することにはならない。
以上の事情を総合考慮すると,被上告人が上告人に対し離婚後の二男の監護費用の分担を求めることは,権利の濫用に当たる。原判決中,二男の監護費用の分担に関する部分を破棄し,同部分につき第1審判決を取り消し,同部分に関する被上告人の申立てを却下する。
[ひとこと]
親子関係の成立を認めながら,その効果の一部(扶養義務)を否定したものである。民法772条の嫡出推定が及び、嫡出否認の訴えが提訴期間徒過、判例の外観説(民法772条の推定が及ばない場合を,夫の失踪,事実上の離婚,夫が海外滞在中あるいは収監中など,懐胎期間中に夫との性交渉がなかったことが,同棲の欠如によって外観上明白な場合に限るという考え方。最判昭44・5・29 民集23巻6号1064頁、最判平10・8・31 家月51巻4号33頁,最判平10・8・31 家月51巻4号75頁、最判H12・3・14家月52巻9号85頁)より親子関係不存在確認請求も訴訟要件なしとして却下された上で,扶養義務が認められないことになった。 法的親子関係を認めながら、その法的効果である扶養義務を認めないというちぐはぐな結論になった本事案には,民法772条の問題点があらわになっている。
親子関係を否定する法的手段がなくなっている上,親子関係の効果を認められないというのは,二男にとって著しい不利益といえる。相続はどうなるのかなど,親子関係の効果についてなお不安定さを残す判断である。


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