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2016.7.8
離婚時の公正証書では算定表よりも高く取り決めていたが、父母双方が再婚し、双方に再婚後の子が出生したなど種々の事情変更があり、公正証書の趣旨を反映しつつ、減額請求が認められた例
[東京高裁2016(平成28)年7月8日決定 家庭の法と裁判10号73頁]
[事実の概要]
夫婦は、2012(平成24)年、子3人(C、D、E)の親権者をいずれも母と定めて離婚し、離婚給付等契約公正証書を作成した。公正証書では、養育費は子1人あたり月2万5000円と取り決められた。
その後、母は再婚し、C、D、E、再婚相手及び再婚相手との間に生まれた子Fとともに6人で暮らしている。再婚相手と子C、D、Eは養子縁組をしていない。母は稼働しておらず、再婚相手の収入で生活している。
一方、父は2015(平成27)年に再婚し、再婚相手との間に子Fをもうけた。
父から母に対し、養育費減額請求の審判を申し立てた。父の総収入は約219万円である。
原審(さいたま家審平成28年3月25日)は、「新たに再婚相手及び長男の扶養義務を負うに至っているから、・・事情の変更も認められる」とし、公正証書による額を減額した。これに対し、母が抗告した。
[決定の概要]
「前件審判(筆者注:原審の前にも審判申立てがなされたが減額の必要はないと判断された)後、相手方(筆者注:父)が、再婚し、かつ、再婚相手との間に長男をもうけ、これらの者に対する扶養義務を新たに負うに至ったといえるから、前件審判後に養育費の額を変更すべき事情の変更が生じたといえる。」
「@平成27年×月(本件審判申立て)から平成28年×月まで
相手方の基礎収入:年額219万円×52%(家庭裁判月報62巻11号57頁参照)=年額113万8800円
抗告人の基礎収入:0円
生活費指数:相手方100、相手方の再婚相手及び同人と相手方との間の子各55、未成年者C90、未成年者D及び未成年者E各55
未成年者らの生活費:年額113万8000円÷(100+55+55+90+55+55)×(90+55+55)=年額55万5512円(月額4万6293円)。」
「本件公正証書における養育費の合意額は客観的に見て標準算定方式により算定される額に月額5万5000円を加えた額であったことを認めることができ、現在における養育費の額の算定においてもこの合意の趣旨を反映させるべきである。もっとも、上記合意は、未成年者ら以外に相手方が扶養義務を負う子を未成年者らより劣後に扱うことまで求める趣旨であるとまで解すことはできないから、上記加算額を、未成年者らと、相手方とその再婚相手との間の子に、生活費指数に応じて等しく分配するのが相当である。」
「そうすると、次の計算式のとおりとなる。
@平成27年×月から平成28年×月まで
加算額:月額5万5000円÷(55+90+55+55)×(90+55+55)=月額4万3137円
加算した結果:月額4万6293円+月額4万3137円=月額8万9430円」
「前件審判は、前記認定のとおり、抗告人の再婚相手と抗告人との身分関係や未成年者らの生活関係を含む諸事情を考慮して、相手方は、当事者双方の収入及び本件公正証書の趣旨を踏まえて算定される養育費の額の3分の2を負担するのが相当であると判断したものであるが、前件審判が前提とした諸事情がその後大きく変化したと認めることはできない。したがって、相手方は、上記(3)で算定した額の3分の2に相当する額について、養育費の支払義務を負うとするのが相当である。そうすると、次の計算式のとおりとなる。
@平成27年×月から平成28年×月まで
月額8万9430円÷3×2=月額5万9620円」
「これを、未成年者らの生活費指数に応じて按分すると、次の計算式のとおりとなる」
「@平成27年×月から平成28年×月まで
未成年者C:月額5万9620円÷(90+55+55)×90=月額2万7000円(1000円未満四捨五入。以下同じ。)
未成年者D及び未成年者E:月額5万9620円÷(90+55+55)×55=月額1万6000円」
なお、ここでは、平成27年から同28年までの部分(@)のみ引用したが、決定では、平成28年から30年まで(A)、平成30年以降(B)と、子らの生活費指数の変化に応じて、養育費額を3段階で変更する認定をしている。
[ひとこと]
父母双方が再婚し、それぞれあらたな配偶者との間に子をもうけていること、母は稼働せずに再婚の夫の収入で生活し、実際には再婚の夫は子らを扶養していること、父の再婚の妻も稼働していないという状況があること、離婚時の公正証書による養育費の合意は算定表による額よりも高かったことの趣旨を反映させることなど、複合家族のさまざまな状況、論点を含む事案であり、参考になる。近い将来子の年齢が変わることによる生活費指数の変更も取り入れて段階的に認定していること、公正証書では年齢にかかわらず子1人あたりの額を同額としていたが、生活費指数に応じた額を認定したことなども参考になる。

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