5 敗訴の事例
5-4 その他
5-4-2006.11.29 宇都宮市ケースワーカー事件(栃木)
市職員であるケースワーカーX男が宇都宮市から生活保護を受けていたA女に性的嫌がらせを行ったとの主張に対して、不法行為に該当する事実は認めながらも、消滅時効が完成したとして請求が棄却された事例
[裁判所] 宇都宮地裁
[年月日] 2006(平18)年11月29日
[出典] 2006年11月30日毎日新聞WEB配信記事
[事実の概要]  ケースワーカーX男は、98年10月から01年3月頃にかけて、宇都宮市から生活保護を受けていたA女に1万円を貸した際にドライブに誘い、「ホテルに行くかい」と言って胸をさわったり、キスをするなど、計4回の性的嫌がらせを行った。X男は依願退職した。
[原告の請求] 市とX男に対して1,100万円
[判決の概要] A女の請求を棄却する。A女に嫌がる様子がなかったことや、他者に相談しなかったことでX男の行為を容認していたということはできない。しかし、X男が性的嫌がらせ行為をやめた01年3月頃から3年経過後に提訴されており、A女の損害賠償請求権は消滅した。市の管理責任も認めない。
[ひとこと] 報道によると原告は「心の傷は簡単には相談できず、時効ははじめて他人に相談した03年4月から」進行すると主張して、控訴する意向とのこと。具体的事情が大きく異なるので直ちに援用は難しいが、被害者に有利に解した消滅時効として以下の事件があるので、原告の目にふれて何かの参考になるとよいのだが。
1-1-2004.12.24 (会社退職時から進行)
4-7-2004.03.31 (他者から援助を受け始めたときから進行)
2-1-2002.06.11 (高校卒業時から進行)
2-1-1999.07.29 (医師の診察を受け始めたときから進行)